コラム

 公開日: 2017-03-13  最終更新日: 2017-03-24

やむを得ない婚約破棄の理由と、慰謝料の相場は?

「結婚式、来ていただけますか?」
「もちろん!で、いつよ?」
「12月です。」

塾講師時代の教え子のA君から、久々の連絡があったのは夏の終わり頃。その後、連絡がないので、座席の関係とかでなくなったのかな?と思っていたら、3月に入ってから電話が。
「実は婚約破棄、しました。」

さて、婚約破棄ってどんな時に許され、許されないまでも慰謝料とかどうなるのでしょう。

婚約は「将来結婚しよう」という契約であって、強制ではないけれども、契約違反(婚約破棄)に『正当事由』がないならば、損害賠償責任(そこまでに費やした費用)が生じ、その中には精神的損害の賠償(慰謝料)も含みます。

そもそも民法には婚約に関する規定がありません。
過去の判例などから、『正当事由』として認められたものは、

(1)婚約相手に不貞行為があった
(2)婚約相手から虐待をうけた
(3)婚姻届の提出や結婚式の日時・方法、新婚旅行の計画などを理由もなく延期や変更された
(4)社会常識を逸脱した言動
(5)相手が精神病、身体障害者になってしまった
(6)相手が性的不能者となった
(7)相手が失業、倒産などにより収入が極度に低下した
(8)相手の性格があまりにも異常
(9)相手に悪質な前科などがあり、将来の婚姻生活が不安になる

つまり、円満な結婚生活が脅かされるのではないかと考えられる場合が、婚約破棄の『正当事由』にあたります。

逆に以下は過去の判例において認められませんでした。
(1)相性、方位が悪い
(2)年回りが悪い
(3)家風に合わない
(4)親兄弟が許さない
(5)性格的に合わない


上記の『正当事由』に該当する場合は、その原因を作った側が、損害賠償責任(慰謝料含む)を負うことになります。
『正当事由』がないにもかかわらず、婚約破棄した場合は、婚約破棄した側が損害賠償責任(慰謝料含む)を負うことになります。

物的な損害
(1)婚約披露の費用
(2)仲人への謝礼金
(3)結婚衣装の購入費用
(4)家具などの購入費用
(5)新居の準備費用
(6)新居の解約損害金
(7)結婚式や結婚披露宴、新婚旅行の申込金やキャンセル費用
(8)婚約破棄によるショックで病気になった場合はその病院代
(9)損害金を回収のために要した弁護士費用などの一部
(10)逸失利益
※逸失利益とは、結婚準備のために退職・転任・転職したこと等により本来得られるはずだった利益を失った損害

慰謝料(精神的損害)
目に見えないものを金額にするのは難しいことです。
しかもだいたいが感情的になっている。結婚を約束するほどの想いを反故にされるわけですから、その愛が深ければ深いほど憎さも倍増、取れるだけ取りたい、できる限り後悔させたい、という思いになるかもしれません。
ただし冷静さを欠くと思わぬ痛手を被ることもありますので、以下の3点だけは頭に入れておいてください。

①慰謝料はいくら請求してもよい
②支払い能力以上は払えない
③もめるとマイナスもありえる

確かに相手が資産家で、例えば1億円の請求をして、相手が同意すれば成立することも事実です。
しかし、こんなことは稀です。
大半はまだ若い人が多いのが現実、収入もまだそんなに多くなく、蓄えも先の損害賠償で消えているとしたら、払えないものは払えません。
あ、ここで「親、兄弟、友達から借りてでも払え!」ば絶対NGですからね。
法外な請求でもめて裁判になると、弁護士費用がかかります。
例えば着手金が5%だったとしたら、1億円の5%でまず500万円、裁判の結果、相手の支払い能力から100万円の慰謝料の支払いが命じられたとすると、成果報酬でその20%の20万円も弁護士費用に。トータルで100万円の慰謝料もらって、520万円を弁護士に払ったら、笑い話にもなりません。
500万円の請求でも、着手金が25万円、成果報酬が20万円で弁護士費用は45万円も。
最初から妥当な金額だったら、もめなかったでしょう。
もめないのが一番です。

まとめますと、
仮に慰謝料を請求する側であった場合、相手の支払い能力も考え、相手が納得する金額を提示。
慰謝料を請求される側である場合は、法外な金額の請求に、いくら相手に申し訳ない気持ちがあっても、安易に同意してはならず、金額交渉をする。
何れにせよ、裁判沙汰になっていいことはありませんので話し合いで折り合いましょう。

ちなみに裁判所のデータによりますと慰謝料の支払いの過半数が50万円~200万円の間です。この辺が相場と言えるかもしれません。


今回は「婚約破棄」からの話でしたが、「離婚」も同様です。
いえ、財産分与がある分さらにシビアになります。
どちらの立場になるとしても、冷静に判断することが重要です。

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ファイナンシャルプランナー 園田経人

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